以前松本城二の丸庭園内にあり、2021年4月1日から移転のため閉館していた松本市立博物館が、2023年10月7日、新しい場所で開館しました。場所は松本城へ続く「大名町通り」の真ん中で、明るくて広い休憩スペースやコーヒーショップを備え、用が無くてもふらりと立ち寄ることが出来る場所になっています。
常設展示
常設展示の中でも、松本城の歴史や文化は特筆すべきもののひとつです。様々な展示の中でも一際目を引くのが松本城と街のジオラマです。以前の博物館にもありましたが、こちらは残っている資料などを集めてさらに検討し、より広範囲に、より細かく再現したものになっています。下の写真は松本城の北西方向から撮影したもので、奥のほうに大名町や三の丸の様子が、手前には現在、埋橋(うずみばし)と呼ばれている赤い橋がある場所(当時は埋橋は無く、代わりに内堀と外堀を繋いでいる水門がありました)が見えます。
その他、山と人との切り離せない関係性や民間信仰など、7つの大テーマを設定し、それぞれ異なった切り口から松本地域を紹介しています。
特別展示 - 松本博覧会 -
現在松本市立博物館で開催されている、開館記念特別展は「まつもと博覧会」という題名が付けられています。ここには、明治時代に破却の危機にあった松本城を救った市川量造と市民たちの活動と意志、そしてその資金の確保のために開催された「松本博覧会」を取り上げることを通じて、当時の「松本博覧会」がそうであったように、現在の「まつもと博覧会」そして松本市立博物館が、松本の魅力を発信し、地域に還元できるような存在でありたいという思いが込められています。
「まつもと博覧会」では、地域の特産品などだけでなく、松本で活躍する企業や作家の出展品を展示しています。例えばギター生産で有名なFujigenは松本市に本社を置く企業ですが、その木材の提供元のひとつに柳沢林業という、これも松本の林業会社があります。柳沢林業は地域や里山の保全を大きなテーマのひとつとして掲げている会社で、林業会社でありながら、様々な試みを通して自然と人との関係を考え、模索し、山にも人にも還元する活動をしています。
松本まるごと博物館への招待
松本城や旧開智学校はもちろん、松本ぼんぼんや、あめ市など、松本には建物の中に納まりきらない伝統、文化、歴史的なものが残っています。そこで「松本まるごと博物館」と題して、松本市立博物館を起点として、この地域全体を「屋根のない博物館」にしていこうというプロジェクトがあります。興味のある展示があったら、ぜひ現地に行ったり、分館となっている博物館を訪れたりして、実際に街を歩いてみてください。
松本城を含んだ街歩きツアーや、サムライ体験などの文化体験にご興味があれば、お気軽にお問い合わせください。